『海賊と呼ばれた男』のモデルとなった出光興産。お家騒動だけじゃない経営危機とは?

原油価格の低下で厳しい台所事情

 そんな桁違いの規模を誇る石油業界だが、利益率ベースだと苦しい現状が見えてくる。’14年度期に各社赤字転落し、’16年度期に入ってもほとんど利益を出せていない企業ばかりである。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=118792  背景にはシェールガスの発見などに端を発する原油価格の低下がある。長期的には国内の石油需要が漸減していくというよりも本質的な問題も横たわっている。要するに石油業界は莫大な金額を動かしているものの、ほとんど儲かってはおらず、今後さらに市況が厳しくなることも確実であるという苦しいマーケットなのだ。  とはいえ、石油は今なお現代社会に不可欠なものであり、石油会社が多数倒産して、国内で安定供給できない事態はあってはならないこと。そのため、国主導で大手同士の統合が模索されてきたのだ。経営統合が実現すれば、各会社の抱える過剰な設備の問題も解消できて、より筋肉質な財務基盤になることが期待できる。  石油業界の大手は自己資本比率が10~20%台前半程度と、かなり低く、借入にかなり依存している。売上の9割を占めるのは原価であり、これをなるべく抑えていくのが不可欠である。経営統合は死活問題なのだ。  つまり、創業家の反対によって昭和シェルを手に入れられなくなった出光興産の経営はこれから厳しい局面に差し掛かる。大手の中でも出光は特に苦しい事情を抱えているのである。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=118793  直近の四半期決算では出光は黒字転換を果たした。だが、それは大量に抱えていた在庫を捌いたことで、在庫評価損を抑えられたからにすぎない。この2年間で、出光興産は3000億円あまりたな卸資産を減少させた。
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多角化に出遅れた出光興産が生き残る道とは?
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