ただ、Wikimedia財団に余裕があるからといって、これからはジミー・ウェールズの寄付のお願いを無視していいというわけではない。Wikipediaに広告を入れることによって情報に歪みが生じるのを避けたい、という創設者の理念が貫かれているのは立派である。
Wikipediaの月間ユーザー数は3億人に上るとも言われるが、これはこの頃苦境が伝えられているTwitterとほぼ同じぐらいである。TwitterはSNSなので単純比較はできないかもしれないが、年間の収入は約20億ドルで、Wikimedia財団の25倍ほどあり、ここ半年でかなり株価が落ちたにも関わらず時価総額はいまだに140億ドルもある。
Wikimedia財団も営利企業として利潤を追及して株式上場させていれば、これに近い価値がついていたと考えられる。そうした機会を捨ててまで中立的な情報のプラットフォームを築き上げたジミー・ウェールズに感謝しつつ、私たちはこれからもWikipediaを使っていくべきだろう。
<文/大熊将八>
おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは
@showyeahok