「爆買い」による特需があるまで、ラオックスは13年連続で赤字を出していた。それでも潰れない仕組みを構築していたのはある意味で見事である。
今年度も第3四半期までの累計では黒字だが、さすがに1半期だけでみると赤字になっている。積極出店による賃料の増加はこれから重くのしかかってくる。
しかし、ラオックスは短期的には赤字に再度転落しても、気にもとめず拡大路線を続ける可能性がある。
マクロ環境に目を向ければ、東京オリンピックまで訪日外国人が増え続けるトレンドは続く。今後4年間で倍増するという見込みもある。現在は訪日中国人にそっぽを向かれて苦戦しているラオックスだが、今のうちに着々と地方にも出店を進めて受け皿を作りつつ、観光客を呼び戻す施策を打っていくのだろう。
旅行代理店との強力なパイプがある限り、集客自体は安定的に見込める。改善ポイントは品揃えや値付けをどのように顧客に合わせていくかである。ラオックスが今後どのように変容していくか、要注目である。
<文/大熊将八>
おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『
進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは
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