自滅か存続か? EUの命運を左右する選挙が5か国で予定されている
フランスもオランダと同じ比率で国民がEUからの離脱を望んでおり、さらには5月7日に大統領選挙が予定されている。オランド大統領が再選される可能性はほぼゼロに近く、社会党から候補者として擁立されることさえ疑問である。EU加盟国で極右派として一番知名度の高いのが国民戦線である。党首のマリーヌ・ルペン氏はオランダのウィルダース氏と連携してオランダと同様にフランスのEU離脱を主張している。
マリーヌ・ルペン氏が5月の大統領選挙で健闘するであろうと予想されている。決戦投票での勝利は難しいが、極右派政党がヨーロッパで支持を高めていることから、彼女がどこまで支持を集めるか注目されているのだ。それが、今後のフランス国民のEUについての考えのバロメーターになるからである。
そして10月の秋にはドイツの総選挙が予定されている。リーダー国であるドイツの選挙結果からEUの今後の進むべき方向が明確にされるはずである。この総選挙の前までに上述したそれぞれの国の選挙の結果もドイツのこの選挙に影響を与えるはずである。しかし、今年実施された地方選挙ではキリスト教民主同盟はこれまでで最悪な結果になっている。先ず、メルケル首相がこの選挙で党首続投で臨むか否かという疑問もある。しかし、現在のEUではメルケル首相に代われるリーダーは不在である。
しかし、移民問題から彼女への支持は極度に減少している。また、キリスト教民主同に連携して連合政権を担っている<社会民主党が緑の党と左翼党との3党連立政権の誕生を模索>している。社会民主党と緑の党は外交政策において殆ど一致を見ており問題はないが、左翼党はNATOからの離脱を主張し、ギリシャなどへの支援金の提供に反対している。そして、ロシアへの制裁を解除し、両国の関係を嘗てのように復活させたいとの望んでいる。(参照『El Confidencial』)
2017年はEUそしてユーロの今後の行方を決める重要な年になりそうだ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
EUの盟主、ドイツの行方は?
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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