製造コストさえ解決すれば、一気に普及する可能性がある
人工肉は、その製造コストが十分に下がれば、マーケットには人工肉が一気に広がるだろう。魚の消費大国である日本でも、人工魚肉の開発を急いで良い。水産資源の減少により、ウナギやマグロなどの絶滅を回避しなければならない。
人工肉は、人類の宇宙進出にも一役買うはずだ。地球外惑星への移住には、現地での食料の確保が必要だ。タンパク源として家畜を連れて行くよりも、タンクと培養液で作れる人工肉を摂取するほうが現実的だろう。
人工肉が普及した未来では、「本物の肉を食べるのは野蛮な行為」という倫理観が人類に定着するかもしれない。その一方で、特定の性癖をもつ層から、ヒトの細胞から作られる「人工ヒト肉」への需要が芽生えてくるかもしれない。
技術の革新はいつだって、人の倫理観を劇的に変える。人工肉は人類を救うのと同時に、新たな道徳をも生み出すことだろう。
【参考資料】
・These maps show changes in global meat consumption by 2024 here’s why that matters
http://ensia.com/articles/these-maps-show-changes-in-global-meat-consumption-by-2024-heres-why-that-matters/
・食肉の消費動向について
https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000814.html
・You Asked: Should I Be Nervous About Lab-Grown Meat?
http://time.com/4490128/artificial-meat-protein/
・Team wants to sell lab grown meat in five years
http://www.bbc.com/news/science-environment-34540193
・Quest heats up for sizzlin’ good burger alternatives
http://www.wsj.com/articles/quest-heats-up-for-sizzlin-good-meatless-burgers-1478100602
・33% of vegans and 47% of vegetarians want to try lab-grown meat
http://www.theveganscholar.com/2016/01/33-of-vegans-and-47-of-vegetarians-want.html
・Memphis meats will soon offer cheap and healthy meat grown in a lab
http://www.designntrend.com/articles/71043/20160228/memphis-meats-meat-grown-lab-watch.htm
<文・堀川大樹>
クマムシ博士。1978年東京都生まれ。2001年からクマムシの研究を続けている。北海道大学で博士号を取得後、NASA宇宙生物学研究所やパリ第5大学を経て、慶応義塾大学先端生命科学研究所特任講師。クマムシ研究の傍ら、オンラインサロン「
クマムシ博士のクマムシ研究所」の運営やクマムシキャラクター「
クマムシさん」のプロデュースをしている。著書に『
クマムシ博士の「最強生物」学講座』(新潮社)と『
クマムシ研究日誌』(東海大学出版会)。ブログ「
むしブロ」、有料メールマガジン「
むしマガ」も運営。