急ピッチで進む人工培養肉の技術 新たな道徳を生み出し、地球の未来を救う!?

植物性タンパクを利用した人工肉が全ての問題を解決する!?

 だが、人工培養肉に問題がないわけではない。肉の培養にかかるエネルギーを考えると、必ずしもエコではないのでは、という議論もある。また、細胞培養液には、ウシ胎仔血清が使用されている。ウシ胎仔血清は、堕胎させたウシ胎仔から抽出するため、結局は生きた家畜を殺めて使用しているという矛盾がある。人工培養肉には、まだクリアすべきこれらの問題が横たわっている。  さて、このような動物細胞を培養するやり方とはまったく異なる方法で開発されている人工肉もある。植物性タンパク質などを原料として作られる人工肉だ。  バイオベンチャー起業の「Impossible Foods」は、小麦、ポテト、ココナッツミルクなどを原料として人工肉を作っている。この人工肉を使ったハンバーガーは、ニューヨークやサンフランシスコの数店舗のレストランで提供されている。ニューヨークのレストラン「Momofuku Nishi」で提供されている人工肉ハンバーガーは11USドルと、お手頃な値段だ。  この人工肉、本物の肉のようなシズル感があるらしい。植物性タンパク質以外に、ヘムという物質を混ぜるのが本物の肉っぽくするコツだという。血液中のヘモグロビンはヘムとグロビンからできており、そう言われれば確かに納得できる。こちらの人工肉には動物の細胞を一切使っていないため、菜食主義者にも受け入れられそうだ。
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製造コストさえ解決すれば、一気に普及する可能性がある
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