労働者の被曝を闇に葬る、電力業界の「ブラックな手口」
今年4月、原発内の労働で被曝して放射線障害を発症したとして労災認定を争っていた裁判で、福岡地裁は原告敗訴を言い渡した。原告の梅田隆亮さん(81歳)は控訴し、上級審で争っている。
1979年。高度経済成長期も終わりを告げるころ、製鉄業で栄えた北九州市にも不況の波が押し寄せた。同年2月、配管工として働いていた梅田さんは、つきあいのあった工事会社社長から「いい仕事があるから来ないか」と誘われる。渡された切符の行き先は島根。駅から車に乗せられ、何の説明もなくすぐに現場の「大きな工場」に連れていかれた。
作業は単純なものだった。巨大なプラントの中で、網の目のように広がる配管の補修個所を、鉛を溶かして塞ぐ。「実質労働時間は1時間ていど。これで3食ついて日給1万円はいい仕事だ」と思った。
作業を始めてすぐ、現場に入るときに渡された機械から耳障りなアラーム音が鳴った。うるさくて作業に集中できない。すると、同僚が「現場の外にいる人に預ければいい」と教えてくれた。“預け”と言われる、被曝線量の計測値を下げる手口だ。
ブラックな勧誘、ブラックな労働
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