労働者の被曝を闇に葬る、電力業界の「ブラックな手口」

作業服もマスクもつけずに原発内部で作業

 3日後、突如激しい腹痛に襲われる。会社専属の医者は「尿管結石の疑い」と診断したが、あらためて病院にかかっても結石など見つからない。3月も作業を続けたが体調は回復せず、結局汽車の切符を渡されて帰宅した。  その後も原因不明のめまいや鼻血、倦怠感などの症状が続いたが、同年5月に同じ工事会社の社長から再び配管工事の依頼を受ける。体調不良のため仕事ができず収入がなかった梅田さんは、食いぶちを稼ぐためにその話を受けた。  そこではじめて梅田さんは、次の現場が敦賀原発であり、前の現場が島根原発だったことを知らされる。どちらも定期点検の作業だった。しかも現場は格納容器の中、炉心に極めて近い場所だ。島根原発では放射線を遮蔽する作業服はおろかマスクすらつけず、敦賀原発では圧力容器の蓋を開けて内部の清掃もした。配管から漏出した高濃度の放射能汚染水をひしゃくで汲み出すという極めて原始的で危険な作業までやっていたのだ。
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杜撰な安全管理、ブラックなもみ消し
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