オーダーメイドなので、当然ながら自分の耳によくフィットするが、通常のイヤホンに比べるとかなり高価。コアとなる価格帯は10万~15万円前後。安価なもので4万~5万円、ハイエンドゾーンには30万円台後半のものまである。
インプレッションの採取も有料で(5,000円前後)、完成までには1~3か月ほどかかる。
そう書き連ねると、ずいぶんハードルの高い、一部のマニア向けの嗜好品のように思えてしまうが、ヘッドホン&イヤホン専門店などで定期的に開かれる耳型の採取会は連日盛況で、20~60代まで年齢層が思いのほか幅広いことにも驚かされる。
ある国内オーディオメーカーの発表によると、’14年には3500台(5億円)ほどだったカスタムIEMの市場は、’15年に1万5000台(15億円)、’16年には3万台(25億円)に届くほど拡大しているという。
実は筆者も、このところにわかに“カスタムIEM熱”にほだされたひとり。専門店で国内外のさまざまなメーカーの製品を数週間かけて試聴した結果、FitEar(フィットイヤー)という国内メーカーの「Private 223」にモデルを決定。この夏の終わりに耳型を採取し、10月に“マイ・ファースト・カスタムIEM”を手にしたばかりだ。
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筆者が購入したフィットイヤーのカスタムIEM、Private 223。BAドライバーを3基搭載したモデルで、価格は¥104,900(インプレッション採取料を除く)
ちなみに、このFitEarの母体は、補聴器の製作と歯科技工全般を手がける「須山歯研」。補聴器製作で培ったノウハウに加え、義歯製作で求められる形状や色調への審美的観点がカスタムIEMの製作の基盤になっているというだけあって、その仕上がりは工芸品さながらの美しさ。
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iPhone7に米国オッポのポータブルヘッドホンアンプ、HA-2を組み合わせたところ。HA-2に付属するコの字型USBケーブルで両者を接続し、同じく付属のシリコンバンドでバインド。外出先でも手軽に高音質を楽しむことができる
“カスタム”なだけに、シェル(イヤホンの本体部分)のカラーリングの選定や名入れが可能なことも所有する喜びを高めてくれる。透明のシェルを選べば緻密な内部構造を眺めることができるので、高級時計などの精密機械好きにもたまらないだろう。