アルビレックス新潟シンガポール、国内主要タイトルを独占。「純日本人チーム」が異国の地で掴んだ栄光への道のり

だがAFCチャンピオンズリーグには現時点で出場不可能

 国内四冠というシンガポールでは前人未到の偉業をアルビSだが、その前途には大きな課題が残っている。Sリーグの優勝チームには、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフに参加する権利が与えられるが、外国人チームであるアルビSにはAFCの規定により同大会への参加資格が認められていない。日本人選手が海外へ挑戦するための窓口となっているアルビSが、クラブとしてはアジアの舞台に上がることができないという皮肉な事態になっているのだ。  この状況を打開するためのキーワードが、クラブの「ローカル化」だ。マネジメントはこれまでどおり日本人が担いながらも、シンガポール人選手を主体としたチームを作り、日本人選手を外国籍選手枠で獲得する形であれば、アジアの舞台を目指すことも可能となる。  是永氏はシンガポールの地元紙の取材に対して、「私の目標はアルビレックスをローカルクラブすること。シンガポール人選手をチームに加えて、いずれはシンガポール代表に入る選手を育てたい」と話すなど、クラブのローカル化に積極的な姿勢を示している。  ローカル化に向けてはSリーグの規定を変更するなど多くの課題があるが、Sリーグを完全制覇したことで、クラブとしても次のステップを目指す必要が求められている。シンガポールを制したアルビSが、ACLの舞台でJクラブと対戦する――。そんな夢が現実のものとなる日がやってくるかもしれない。 <取材・文 アジアサッカー研究所/安藤浩久> 1974年、愛知県豊橋市出身。会社員勤務後、アジア・欧州を2年間放浪。世界各地でサッカーを観戦して、その多様性と奥深さに触れる。その後、豪州ディーキン大学大学院でスポーツ経営学を修め、シンガポールの日系情報誌で編集長として勤務。現在はシンガポールをベースに、翻訳やライターの傍ら、アジアサッカー研究所の一員としても活動中。 <アジアサッカー研究所> 東南アジアを中心としたアジア新興国と日本およびアジアの国々のさらなる発展のために、各国の取り組みをリサーチし、関係者に共有し、さらなる価値を創造していくことを目的として、人材開発とコンサルティング分野など、日本とアジアのサッカー交流を加速させるプロジェクトとして活動している。http://ja.ifaf.asia/
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