アルビレックス新潟シンガポール、国内主要タイトルを独占。「純日本人チーム」が異国の地で掴んだ栄光への道のり

アルビSから多くの選手が海外移籍

 運営資金が豊富になったことで、獲得する選手の質も向上した。今季のチームには、新潟や湘南、松本で活躍したベテランGK野澤洋輔や、元長崎のDF代田敦資、SリーグクラブでもプレーしたMF乾達朗といった経験・実力をもった選手が所属しており、チームの核となっている。今季の公式戦で20ゴールをあげてリーグMVPに輝いたFW河田篤秀(阪南大出身)は、J2クラブからの誘いを断ってシンガポール行きを決めており、アルビSに所属する選手個々の実力はここ数年で確実にレベルアップしている。  選手が入団する際に決め手のひとつとなっているのが、海外への移籍をクラブが積極的に後押ししている点だ。これまでにアルビSから約50名の選手がアジアや欧州のリーグに移籍しており、海外への挑戦を志す選手たちにとって第一歩を踏み出す場として機能している。  また、7年ぶりにチームに復帰した鳴尾直軌監督の指導も今季の躍進に大きく貢献した。所属選手の適性を生かすために開幕当初から3バックのシステムを採用。両ウイングバックがゴール前まで走りこむ積極的な攻撃で得点を重ねるとともに、守備時には5バックで自陣にカギをかける戦術は、4バックが主流となっているSリーグで大きな効力を発揮した。2009年にアルビSを率いた際は7位(11チーム中)に終わったが、その後J3・グルージャ盛岡で監督を務めたことで指導者としての経験値を高め、その成果がシンガポールで大きく花開いた形だ。
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だがAFCチャンピオンズリーグには現時点で出場不可能
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