W杯予選で苦戦中の日本と、隆盛中のアジア新興国サッカー「Jリーグアジア戦略」は日本のレベルアップに貢献するか

アジア新興国に足場を伸ばす「Jリーグアジア戦略」とは

 経済の成長に伴い、サッカーの人気やレベルも上がってきている。上述の中国やタイの例もそうだが、その他のASEAN各国でのサッカー人気の上昇は著しく、いままでは欧州サッカー(特に英国プレミアリーグ)の人気一辺倒だったのが、各国の経済界、政界等のリーダーによる各国の自国ローカルリーグへの投資が進み、人気を博してきている。  欧州クラブ人気から、地元クラブ人気へと移行が進んでいく中、Jリーグも負けじとそのプロモーションを進めている。 「Jリーグアジア戦略」と呼ばれるその活動は、多岐にわたる。アジア戦略室と呼ばれていた担当部署は、近年、国際部となり、活動を活発化させている。  ビジネスが活況なアジア新興国へ進出する日本企業と、現地の有力企業をサッカーという共通言語を通じてマッチングしたり、現地の人気有名選手をJリーグクラブに移籍させ、現地企業スポンサーを獲得したり、現地へJリーグの放映権を販売したりと、Jリーグのマーケットを日本から海外に広げつつある。  またビジネス活動のみならず、Jリーグが日本サッカー協会と国際交流基金とタイアップし、日本と各国の指導者交流を促進させたり、日本で開催するアンダーカテゴリーの大会にアジアからチームを招聘したりと、国際交流や貢献事業にも力を注いでいる。Jリーグのファンから集めた中古のユニフォームをアジアの恵まれない地域に直接届けるなどの地道な活動も続けているのだ(カンボジア、ブータン、スリランカ等で実施)。
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アジアを強くすることが、日本を強くすることに繋がる
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