投資家なら要チェック。2016年「ポーター賞」受賞企業が決定
ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)を読むと、よく理解できると思われる。楠木氏は同書において、優れた戦略ストーリーをつくるためには、本質的な顧客価値を捉えたコンセプトが何よりも重要であり、他社との違いを構成する要素に一貫性を持たせ、ストーリーをつくる事が競争優位につながるとしている。
競合との違いをつくっても、それがすぐに他社に模倣されるものであれば、一時的な競争優位を獲得できても、すぐに違いがなくなり、競争優位性は持続しない。楠木氏は、競合から見ると非合理を持ちながら、ストーリー全体で強力な合理性を獲得する事ができれば、競争優位を長い期間、持続することができると主張する。「競合が自社を真似しようとしても真似できない。競合が自社を真似すると競合は自滅する」競争戦略が優れているとしている。
ポーター賞もこの点を重視して選考されていると思われる。
実際に、ポーター受賞企業・事業部レポートを読むと、過去の受賞企業がいかにして「競合が自社を真似しようとしても真似できない。競合が自社を真似すると競合は自滅する」、「一見非合理に見える要素が、後から見た時、ストーリー全体の中では合理的に」なっているかを知ることができる。
2001年度、記念すべき第1回ポーター賞受賞のマブチモーターは、メーカーなどの注文に応じて製品を作るのが常識だったにもかかわらず、製品を絞りこみ、大量生産を選択した。2015年度、第15回ポーター賞受賞企業の婚活サービスのIBJは、オンラインサービスの強みである登録の手軽さを犠牲にするような入会時のハードルを設け、お見合いパーティでは、一開催あたりの集客数を犠牲にしても、個室型パーティ会場の自社運営を選択し、出会いの質を高めることで、顧客満足度を高め、成婚に向けて顧客維持を図るなど、個別サービスの効率性を追わない。
もちろん、優れたイノベーション事例などは経営者にとっても一読に値するが、一般の投資家にとってもこの賞に注目すべき理由がある。それは、本賞受賞企業の株価パフォーマンスの良さだ。
ポーター賞の選定基準に関しては、一橋大学大学院国際企業戦略研究科国際経営戦略コース楠木建教授の著書『
『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』 究極の競争優位をもたらす論理を解明していく |
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