MacBook Airの11インチモデルが発売終了に
いずれにしても薄型軽量化を果たした新MacBook Proはモバイル運用しても負担になりにくいモデルとなった。
そして、発表前から抱いていた1つの懸念が現実のものとなった。お気づきの方もいるだろう。MacBook Airの11インチモデルがアップデートしなかった。そしてオンラインストアでの取り扱いもなくなった。
硬質なユニボディを採用したMacBook Airは、強めにキーを叩いても揺るがずにただしくストロークしてくれる文章/オフィスファイル作成マシンとして優れていた。しかも価格は10万円を切るモデルも用意されていた。
誰もがクリエイティブワークをするのではない。安価なMacBook Airの人気を最も知っているはずのアップルが、自らスタンダードモデルを消失させた。高性能ではあるが、より高価なモデルばかりラインナップさせるという態度を出してきた。なにせ、Touch Bar/ Touch IDが付かないMacBook Pro 13と、既存のMacBookは同じ価格だ。14万8,800円という数字をボトムラインとする……。その手法は果たして、正しいのか。ブランド力を高めるためにはトップモデルの革新を進めるとともに、ローエンドの裾野を広げる必要があるのではないだろうか。
アップルはiPad Proに「1枚のスーパーコンピューター」というキャッチコピーをつけている。9.7インチモデルが6万2800円から、12.9インチモデルが8万2800円というプライスタグをつけている。
本当にiPad Proで全てを賄えるのか…
ボトムラインはiPad Proで支える、という考えをアップルは持っているのかもしれない。しかし、MacBook Airの11インチモデルに感じた“長時間打ち続けても疲れにくい、優れたキーボード”はiPad Proでは一切期待できない。それはストロークが短くなったMacBook、しいては新MacBook Proも同様だ。
アップルは代表的なモデルをリリースする都度、従来備わってきた機能を省いてきた。近年においてはiPhone7でヘッドホン端子をなくし、MacBookはUSB Type-Cコネクタのみとし、新MacBook ProはHDMI端子やSDカードスロットも非搭載とした。これらをレガシーなインターフェースと見なして排除、新たな操作感を提供してきている。悪く言ってしまえば囲い込みでもあるが、ディープなアップルファンはそのことに表立っては異を唱えない。
もしも、アップルが、キーボードというもののユーザーインターフェースを古きもの、と見据えているのだとしたら、その先にあるPCの市場はどうなっていくのだろうか。
※画像はすべてApple公式サイトより
<文/武者良太>
【武者良太】
スマートフォン、デジカメ、オーディオをはじめ各種ガジェットのレビュー・インタビューを担当しているフリーライター。ギズモード・ジャパン、WIREDなどのWEB媒体を中心に活動している。