ヤフーの「どこでもオフィス」は従業員の満足度を満たすか

情報漏洩対策に相当なお金を投じる欧州企業もある

 多様な働き方が進むと、もう一つ課題がでてきます。それが、情報漏洩とどう向き合うかです。  例えば「どこでもオフィス」をするために、カフェに行こうと思ってパソコンを持っていったら、何らかの形でこのパソコンが盗まれてしまった。または、自宅で働くために、資料を車に入れてちょっと買い物に行ったら、車上荒らしにあってしまった。これは大問題です。  これを防ぐためには何ができるでしょうか。私の勤めていた欧州の企業では、会社の外に持ち出せるパソコンのセキュリティーそのものを頑丈にするという投資をかなりしていました。もし多様な働き方を会社が認めることにするのなら、まずこのパソコンのセキュリティーに対しての投資は、必要最低限の投資と考えるべきでしょう。さらに、社外に持ち出せる情報とそうでない情報の線引きをしっかりとする必要性もでてくるでしょう。盗まれる危険があるという考えのもと、対策を練る必要があるということもできます。  今後、多様な働き方を認める企業が増えてくるでしょう。一方、そこにはリスクと課題も存在します。多様な働き方を認めて従業員の満足度が高くなると思ったら、逆だった。そんな状況だけは避けたいものです。各企業には、従業員のため、そのリスクと課題をあらかじめ知った上で、同時に改革に挑んでいただきたく思います。 <文・岡本泰輔> 【岡本泰輔】 マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。 米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。
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