地震による給湯器の貯湯タンク転倒に要注意! 熊本地震の被害相談を受けて国民生活センターが警告

 国民生活センターの報告によれば、具体的には以下のようなケースがあったという。 【事例1】設置説明書ではM12のアンカーボルトが指定されているが実際はM8が使われていたケース。  10年前に設置した給湯器の貯湯タンクが地震で倒れた。メーカーの設置説明書には、「M12のアンカーボルトで基礎に固定し、貯湯タンクの上部に転倒防止用金具を設置するように」と書かれていた。しかし実際には8mm(M8)のアンカーボルトが使用されており、転倒防止用金具も取り付けられていなかった。設置説明書通りに取り付けていたら、本震で倒れなかったのではないかと取付業者に指摘したら、10年前は8mmのアンカーボルトが一般的だったと言うが、納得がいかない。(30歳代男性無職熊本県) 【事例2】19年前に設置した貯湯タンクが二つのブロックに載せただけで固定されていなかったというケース。  19年前に設置した給湯器の貯湯タンクが地震で倒れてフェンスに当たり、貯湯していた水が流れ出た。近所では貯湯タンクは倒れていなかった。改めて確認したら、わが家の貯湯タンクは二つのブロックの上にただ載せられているだけで、上の部分は固定されていなかった。地震後すぐに販売業者に連絡し見にきてもらったが、次の商品を販売する話しかしなかった。メーカーの担当者は設置に問題があると言っていた。(40歳代女性無職熊本県) 【事例3】倒れた貯湯タンクの接地面を確認したらボルト固定がされておらずじか置きだったケース。  約2年半前に設置した給湯器の貯湯タンクが地震で倒れ、隣家の塀にもたれかかっている。接地面をみるとじか置きだった。このままだとさらに倒れてしまう恐れがあるので、施工業者に早急に設置しなおしてほしいと伝えたが連絡が来ない。メーカーに現場を見てもらったところ、メーカー標準仕様のボルト留めをしていないと指摘された。(50歳代女性自営・自由業熊本県) 【事例4】アンカーボルトを打つ位置が設置説明書通りではなかったケース。  6年前新築した時に、家屋の基礎に接する形で給湯器の貯湯タンクのためのコンクリート基礎を作り、3本足の貯湯タンクを取り付けたが、地震で倒れた。アンカーボルトの一つは家屋基礎と貯湯タンク基礎の境目に打ち込んであった。設置説明書には基礎の端から60mm以上内側にボルトを打つという記載があり、調査研究機関に確認したら誤った施工方法だと言われた。住宅メーカーとその下請工事業者に確認したら、工事業者は設置説明書があることも知らないと言い、住宅メーカーは工事ミスではないと言っている。(30歳代男性給与生活者熊本県) 【事例5】コンクリートの基礎が薄かったため貯湯タンクがアンカーボルトごと抜けて倒れたケース。  熊本地震の2か月前に引き渡しを受けた新築戸建住宅の給湯器の貯湯タンクがアンカーボルトごと全て抜けて倒れ、外壁のフェンスを壊した。住宅の請負業者に頼んで新しいものと交換する際、以前の施工ではメーカー指定のボルトを使っていないことが判明したため、指定の長いボルトを使うよう要請した。しかし、コンクリートの基礎が薄くボルトが貫通してしまったため、基礎からやり直すことになってしまった。後日、基礎工事を含む工事代の請求がきたが、元々基礎の施工に問題があったのに、交換した給湯器の全額支払いは納得できない。(30歳代男性給与生活者熊本県) 【事例6】貯湯タンクを固定した土台状のものが地面に固定されていなかったケース。  8年前に設置した給湯器の貯湯タンクが地震で根元から倒れた。貯湯タンクは土台状のものに固定されていたが、それ自体が地面に固定されていなかったために倒れたようだ。貯湯タンクが倒れるまで、土台状のものの下にはコンクリートの基礎があると思っていたが、そこにはコンクリートブロックが数個と、ブロックの間には発泡スチロールのようなものが置かれ、セメントで塗り固められているだけのようだった。給湯器は使えなくなったが、支払いは残っている。ずさんな取り付け工事のために被害を受けたのだから、給湯器の代金全額を支払うのは納得できない。(70歳代男性無職熊本県) 【事例7】倒れた貯湯タンクで隣家に損害を与えてしまったケース。  10年前、家を新築した時に設置した給湯器の貯湯タンクが本震で倒れ、隣の塀を潰し、車の後部をへこませガラスを割った。設置説明書には、460kgの重さの電気温水器を支えるためにM12のアンカーボルトを使用するよう記載されているが、設置業者に問い合わせると説明書通りの工事をしていないという。早急の修理を依頼したが「修理はできない。新しいものとの交換費用で約40万円かかる」というが納得いかない。(40歳代女性給与生活者熊本県)  国民生活センターでは、これらの事例を踏まえて消費者には次のアドバイスを行っている。
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震災時に貯湯タンクの倒壊による被害を防ぐために
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