人気スポーツになったが実力不足!? タイのサッカー、進化を阻む要因とは?
――タイ人の選手で期待できそうな選手はいたか
浜崎:「テクニックで見るとみんな高いが、Jリーグに入って同じようなプレーができるかというと、サッカーが全然違うので難しいだろう」
小倉:「タイ代表選手の中で新しい環境に合わせるために変わる努力をする人は数人くらいだ。タイ人選手全般的な性格から見て、わざわざ辛い環境に入ってまでプレイする選手は基本いないと言っても過言ではない」
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浜崎:「ベトナム人は日本など海外でプレーする選手はいるが、現在、タイ人ではいても若手選手で、タイ周辺国のリーグにいるくらい。今回10番をつけていたティーラシン選手はスペインのリーグには行ったが、もう帰ってきてしまっている。そもそも日本人でも難しい環境だからそれは仕方がない。「タイのメッシ」とも呼ばれるチャナティープ選手も今回の代表戦ではきっちりマークされて、早いプレッシャーの中でタイ・リーグと同じようなプレーはできなかった」
タイではサッカー観戦はPLTよりも欧州リーグが主流になる。なぜなら、サッカー賭博がアンダーグラウンドで流行していて、その対象となる試合はほとんどが欧州のリーグになるからだ。1996年に発足したタイのプロリーグは不思議とギャンブルの対象にはならなかった。タイの富裕層がサッカーチームを保有することをステータスとし、同時にプロリーグとしての仕組みができたことから、タイ・サッカーは国内で健全に成長した。
タイ人サッカープレイヤーたちはサッカーで食べるためには海外に出るしかなかったが、タイ国内でも稼げるのであればとこの数年でタイ人選手が海外を目指すことが少なくなってしまう。高い契約金でなくても、そこそこ楽しく生きられる方を選んでしまうのがタイ人選手の大多数の考え方である。タイをこよなく愛し、タイで楽しく生きていきたいと願うタイ人選手にとってPLTの市場が大きくなったことが、皮肉ではあるが、選手の成長を妨げてしまっている。
次回は、タイのサッカー業界におけるメディアや観客をについて焦点を当ててみたい。
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
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たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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