またしても離脱国を生み出すことになるか!? EU加盟国が不安視する「レンツィの賭け」

レンツィは何をしようとしているのか?

 まず、レンツィが手をかけようとしているのが選挙法の改正である。それは総選挙の1回目の投票で一番多く議席を獲得した政党が過半数を満たさない場合に、2回目の投票で40%以上の投票率を獲得すれば、55%の下院議席数を確保できるとしたものである。また、3%以下の得票数の政党は下院に代表を送ることが出来ないという条項も予定されている。  次に、上院の改正では、現行の315議席から100議席に減らし、その5議席は大統領によって選ばれ、21議席は市長の中から選任、残り74議席は地方代議員などから選出されるとしたものである。改正後の上院では内閣不信任案は提出できなくなる。(参照:『El Mundo』、『El Pais』)  現在のイタリア議会は下院と上院が対等の権利を持っているため、下院の決議を上院で不服として審議にかけることが出来るのである。また、内閣不信任も提出できる。その為に、一つの法案が最終的に立法化されるまで余計な時間を費やさねばならないことが往々にしてあるという。レンツィ首相は上院はお飾り的な存在にして、実質的には下院だけの一院制にすることを目標にしているのである。
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ポピュリズム寄りになるレンツィ
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