名将、アンチェロッティに学ぶ「静かに、穏やかに人心掌握する」方法
まずアンチェロッティは、チームをひとつの家族と考える。全てのメンバーは同じ目的を共有し、それを達成することこそが“家族”にとっての唯一の価値なのだと納得させる作業から始まる。その実感のないところに、持続的な成功などあり得ないからだ。
だが、そこには普段からの行動にともなう裏付けがなくてはならない。ミーティングのときだけご立派な訓示を垂れていればいいという話ではない。
そこで必要となるのが、「選手(部下)と一対一の人間として真剣に付き合う」ことなのだ。プレイヤーや社員は、成果をあげる戦力である前に一人の人間である。プライベートの悩みを聞いたり、ジョークを言い合ったりする中から、“自分はきちんと受け入れられているのだ”との安心感が生まれる。それがセーフティーネットとなり、職務上の能力が存分に発揮される環境が整うのだ。
長らくチェルシーのキャプテンを務めるジョン・テリーは、「自分のことを心から気にかけてくれるボスのためには、どんなに辛くても頑張れるものだ」と語っている。これこそが、“暗黙の主従関係”の最たる成功例と言えるだろう。
もちろん、部下に対して理解や共感を示すだけでは組織はまとまらない。時には怒りをあらわにしなければならないときもある。だが、そうした激情は理性的かつ効果的に表現されねばならないのだとアンチェロッティは語る。一体どういうことなのだろうか?
『Quiet Leadership: Winning Hearts, Minds and Matches』 名将、アンチェロッティ語る |
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