研究費供給問題を解決しなければ、日本人のノーベル賞受賞は打ち止めになる

研究者の苦境は今後も改善される見込みはない

 だが残念ながら、少子高齢化のこの国が迎える財政事情の中で、今よりも多くの研究費が基礎研究に割り当てられるようなことは、ないだろう。ない袖は振れない。いくら国に要望を出しても、研究者の置かれた状況が大きく改善することはないだろう。  これからは、研究者自身の意識も変わらなければならない。国に頼らずに研究費を集めたり、低予算で研究できるような仕組みを利用するなど、オルタナティブな戦略を立てるのだ。  最近では、不特定多数の有志からネットで資金を募る、クラウドファンディングサービスも充実してきた。「academist」は大学などの研究者が研究費を集めるために利用するクラウドファンディングサービスであり、ここで100万円以上の資金を得ている研究者も少なくない。  科研費を取得するためには専門家の審査員を納得させるための研究計画や研究実績が必要になる。その一方で、クラウドファンディングで成功するために必要なのは、非専門家のネットユーザーに共感してもらうことだ。研究の面白さが伝われば、人々は自然と応援したくなるだろう。
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新たな研究費獲得の手法が求められる
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