【中国最大の北朝鮮博覧会】中朝関係悪化で出展企業が100社から66社へ規模縮小

 中国丹東で朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の博覧会としては中国最大規模となる第三回中朝経貿文化旅遊博覧会が10月17日から20日まで開催された。
北朝鮮博覧会

鴨緑江を背にして飾られる博覧会案内パネル

 事前情報では、過去最大規模になると報じられていたが、実際は、北朝鮮出展企業は66社で、昨年の約100社から大幅減となった。朝鮮日報によると、北朝鮮と中国企業の間で、60件、12億6000万ドル(約1348億円)相当の貿易や投資意向書を締結。北朝鮮と外国企業との間で、1160万ドル(約12億4000万円)相当の貿易や8件、1億ドル(約107億円)に達する投資意向書の契約をしたというが、この数字も昨年に北朝鮮と中国企業の間で結ばれた93件、16億ドル(約1710億円)の結果を下回っており、昨年12月の張成沢氏粛清以降の中朝関係悪化を反映した数字と言える。  ただ、博覧会自体は、中国、台湾、外国企業などで成功を収めている。そんな北朝鮮博覧会に行ってきた。 ⇒【写真】はコチラ http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=734326  会場は、丹東南に広がる新区と呼ばれる開発が進むエリアに2か所も設けられている。丹東駅など街の中心部からは40分ほどの距離となるが、無料送迎バスが運航しており特に不便さは感じない。  メイン会場(国門湾家居生活広場)の中朝商品展覧交易会は、完成間近の新鴨緑江大橋近くにある。3kmに渡るこの巨大な橋は、現在の中朝交易や交通量を考えれば不必要なほど巨大であるが、まるで中国が北朝鮮に向かいその威光を示しているようにも思える。  昨年は、国連制裁対象企業が出店していたのが報じられていたが、17日のNHKニュースによると今年は該当企業の出展は確認できなかったそうだ。  博覧会名に中朝とつけられているが、北朝鮮企業は全体の4分1ほどしかなく、同国ブースは、高麗人参など自然食材、漢方へ使う生薬、ハチミツ、味噌、化粧品、絵画、精力剤、衣類、飲料など軽工業製品が中心で、機械類などは数社しかなく訪れる人もまばらだった。  生薬ブースにいた40代くらいの中国人女性へ話を聞くと、「北朝鮮の加工食品や工業製品にはあまり関心はないですね。中国のものより健康的でより安全だと聞く自然食材に興味があります」と話してくれた。この女性は漢民族で購入生薬を調合して煎じた煮汁を食後に飲むそうだ。  中国の食品は中国人でも信用していない人が多く、未加工な自然素材なら北朝鮮の方が安全で質が高いという認識があり、素材そのものに興味があるようだ。  メイン会場の一角には、北朝鮮紹介コーナーがあり、指導者の紹介や著名な観光地案内等が販売されていた。さながら北朝鮮へ入国したかのような錯覚を起こす。  コーナー内で、中国語ができる4、50代くらいの北朝鮮男性へ話を聞いてみたところ、今回は約500人の北朝鮮人が派遣されており、力を入れているという。また、記者が日本人だと伝えると、「以前には日本へ輸出したり商売していたので、またぜひ日本人にも朝鮮の商品を届けたい」と笑っていた。  サブ会場(国門湾科技五金城)では、中朝貿易展銷基地交易会が行われており、メイン会場から3kmほど離れている。メイン会場の”家居”とは、中国語で家具のことで、サブ会場も普段は住宅用の家具や建材展示場のようだ。その中心部に巨大テントを設置しブースとしていた。  常設かどうかは不明だが、会場一角には、中朝美術館があり朝鮮絵画が展示、販売もされている。油絵が主体で女性や風景、虎、建国時を描いた絵画が多く、政治色を強く出した絵は少ない。  サブ、メインともに軽工業製品のブースが並び代わり映えしない。北朝鮮ブースにベンチが数脚あったものの、ベンチに腰掛けた朝鮮族と思われる女性が計算機を片手に担当者と熱心に交渉している姿を見かける以外は休憩用に使われていた。  サブ会場には、鉱物を扱う会社があり担当者がいたが、数社ある金属加工などの機械メーカーは担当者不在でパンフレットもなかった。個人的には、北朝鮮のITメーカーの出展を期待していたが、それもなく寂しい限りだ。  ただ、そうは言っても娯楽が少ない中国。商談よりも家族で楽しむために来場している人もいたようだ。  それにしても、こちら( http://hbol.jp/11345)で報じたように、23日には北朝鮮は外国人観光客の入国を停止した北朝鮮。この博覧会に訪れていた500人の北朝鮮の人々は、多くの外国人とも接触していたのだが無事に北朝鮮に帰国できたのであろうか……。 <取材・文・撮影/我妻伊都>