観光PRする北朝鮮が突如「外国人入国停止」を通告。中国の旅行代理店も困惑

 これまでも何度か北朝鮮がここ最近、観光事業のPRに力を入れていることを報じてきた。 ※北朝鮮が観光客受け入れに注力 PCやタブレットの持ち込み規制も廃止(http://hbol.jp/10612) ※観光事業に注力する北朝鮮の戦略 日本人向けに行ける場所も増加( http://hbol.jp/10616)    10月16日には、中国の丹東で、対岸の新義州郊外への中国人向け新観光ルート開放を祝う式典が開催され、北朝鮮観光総局の関係者が「我が国の観光産業は金正恩第一書記の指導の下で新しい段階を踏み出した」と強調したこともあり、これからますます北朝鮮への観光ビジネスが活発化する……と思っていた矢先に、北朝鮮旅行を手配する代理店へ激震が走った。
新鴨緑江大橋

開通間近の中朝を結ぶ新鴨緑江大橋

 記念式典のわずか1週間後の23日午後遅くに、北朝鮮は翌24日から外国人観光客の入国を停止すると通告してきたのだ。理由は、西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱の感染防止のためだという。  大連の代理店によると、24日は朝から今秋に訪朝予定の日本人顧客への連絡でパニック状態だったそうだ。しかも、停止期間は未定なので、期待を寄せていた年末年始の見通しも立たなくなっていると困惑の色を隠せない。  思い起こせば、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の時も早々に入国を停止しているので、前例主義の北朝鮮らしい一方的な処置と言える。  外貨獲得のためにも観光に力を入れたい北朝鮮。新たな観光ルートが開拓されてビジネスの発展を期待していた中国の旅行代理店。エボラ出血熱の感染拡大が、思いもよらぬところに影響を与えたようである。 <取材・文・撮影/我妻伊都>