発表内容によれば、こうした1日における記憶のリズムは、脳の海馬と呼ばれる部位に存在する「体内時計」(海馬時計)が制御しており、この体内時計は「SCOP」と呼ばれる特定のたんぱく質の量的な変化を生み出している。目覚めた直後は学習によって多くのSCOPが分解されるので記憶力が上昇するのだ。つまり、SCOPは体内時計から受け取った時刻情報をもとに、記憶システムにこれを伝える動きをしているのだ。
一般的にマウスは夜行性であるが、人間でも記憶のしやすさに1日のリズムがあることが知られている。今回はマウスでの実験だというが、発見した海馬などのメカニズムは人にも当てはまると考えられるという。より研究が進めば将来的には老化防止や記憶障害の改善にも役立つ可能性があると、同研究チームは述べている。
何度も反復作業で学習するのは大変だが、同じ時間でも起床4時間後までに学習すれば、より効果的に学習できる。ぜひ覚えておきたい。
<文/HBO取材班>
【参照】
東京大学大学院理学系研究科・理学部
「
長期記憶しやすい時刻の発見とその脳内の仕組み」