大泉町の外国人の中での中国人の比率は5%程度と目立ったものではないが、この数字は今後大きく変わると指摘するのは山田フェルナンダさん(仮名)だ。
「中国人の労働者が増えてきたと感じるのは、ここ数年の出来事です。インターナショナルスクールでも、まだまだ南米系やフィリピンの子供達が占める割合いが多い。ただ成人に関していえば、逆にペルーやブラジルといった南米からの移民は、減ってきていると思う。昔は大泉町が日本で一番住みやすいブラジルタウンという評判でしたが、今はより稼げる名古屋に行くという選択をする人も多い。つまり、この地のブラジル人と中国人の人口バランスは長い目で見ると逆転していくのではないか、と私達は話しています」
取材時には、表立って中国と南米のコミュニティで問題は起きていないという現状が把握できた。ただ、「アルバイトでも稼ぎたいという中国人が増えたことで、派遣切りの煽りを最も受けるのは私達なんです」という切実な声があったのも事実だ。また、地元住民からは生活保護受給者の3割超が外国人ということを厳しく指摘する声もあり、今後も外国人を受け入れていく上で大泉町が抱える課題は少なくない。隣接する太田市と並び、1990年の出入国管理法以降、多くの日系人の受け皿となってきた大泉町。日本の最大級のブラジルタウンが、チャイナタウン化する日が訪れる可能性もあるのかもしれない。<取材・文/栗田シメイ>