まず、理解しておきたいことは、何でもかんでも“ハラスメント”になるわけではありません。例えば、業務上必要な事と認められるのであれば、ハラスメントではないのです。本来は必要ではない、余計な事を付け足したり、やり過ぎたりするからハラスメントになるのです。
そして、それが受け入れられるかどうかは自分では決められないということです。同じセリフ、同じ方法だとしても、誰に言われたかによって“コミュニケーション”と“ハラスメント”に分かれるからです。したがって、信頼関係の度合いに応じて指導方法やコミュニケーションの取り方を変えるなど工夫することが必要でしょう。
大槻智之氏
また、相手だけではなく、第三者に対してもハラスメントになってしまうことがあるということも忘れてはなりません。一方的な信頼関係やTPOをわきまえないコミュニケーションは無意識にハラスメントを行ってしまう可能性があることを常に意識しておきましょう。
最後になりますが、信頼関係が無くとも、ちゃんと相手の人格を尊重した上で業務に対する指導であればハラスメントにはなりません。ハラスメントを恐れるあまり「指導ができない」なんてことにならないよう、何がハラスメントになるのかを理解しておくことが肝要です。
<文/大槻智之>
【大槻智之】
’72年4月、東京都生まれ。日本最大級の社労士事務所である大槻経営労務管理事務所代表社員。株式会社オオツキM 代表取締役。OTSUKI M SINGAPORE PTE,LTD. 代表取締役。社労士事務所「大槻経営労務管理事務所」は、現在日本国内外の企業500社を顧客に持つ。また、人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、250社(社員総数25万人)にサービスを提供する