市場飽和で注目! 知られざる[高齢者向け]不動産の実力とは?

高齢者に貸すべきは「アパート」

 では、不動産オーナーを志望するとき、具体的にまずやるべきことは何だろうか。不動産には、マンション、アパート、一軒家と様々なタイプがあるが、山本氏が投資家目線で注目しているのは、「アパート」である。 理由として山本氏が挙げるのが、以下の3つだ。 1.資産価値が下がりやすく、借り手探しに苦労しやすい 2.壁が薄いアパートは生活環境が静かな高齢者向き 3.低層のため足腰の弱った高齢者に好まれる  さらにその理由について、山本氏はこう語る。 「まず、アパートは資産価値が下がりやすいため、借り手として高齢者という選択肢は常に持っておくべきです。私のもとにも、築15年前後のアパートにいかにして入居者を入れるか相談が多く寄せられていますが、多くは高齢者との契約を増やすことで解決の糸口になることが多いですね。  また、高齢者は65歳を過ぎると生活騒音がなく、通常人気のないアパートの1階も足腰が弱ってきた高齢者にはむしろ好まれる、という状況が起こっています。また、駅近という条件が必要ないのも高齢者ならではかもしれません。高齢者にとっては病院とかスーパーといった日常の生活圏こそが重要であり、その中だけで完結していればいい人たちが多い。電車から遠くとも、バス路線があれば良いという見方もできます」

リスク管理を実践できるオーナーが生き残れる

 今後、不動産オーナーにとって必要なものが、リスク管理だ。リスク管理のポイントとして山本氏があげるのが「接触頻度」だ。 「事故物件にしないためには、接触頻度をとにかく増やすことが求められます。従来は定期的な見守り訪問の回数を増やすことが求められましたが、これは最新のIoTの導入や複数物件の同時管理などでカバーすることができます。ただし、過剰な監視カメラは高齢者からも嫌がられることを肝に銘じておきましょう」  オーナーとしては、こうしたリスク管理を盤石にすることで、家賃を高めに設定できるようになる。例えば、家族に代わって見守りのリスクを持つかわりに家賃を1.3倍程度にすることも可能なのだ。  高齢者に物件を貸すことが当たり前になったときに、今の空室で競争優位が保てるかどうか。それは、旧来の「借り手」像から離れることが必要だ。勝てる不動産オーナーの分かれ目は、常識にとらわれない発想と実践にかかっている。 <取材・文/HBO取材班> 【山本 遼】 やまもと りょう◯愛媛大学卒業後、新卒として、愛媛県の不動産会社に入社。社会人2年目で、転勤のため上京。上京後は主に地方からの一人暮らしの方を中心に不動産を仲介。仲介業での経験を活かし、社会人4年目、25歳で独立。「R65不動産」をスタート
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