消えゆく個人経営うどん店を人気ラーメンチェーンが救済する理由
2016.09.20
人気のローカルチェーンののれんを守ることは、博多独自の食文化を守ることにもつながる。実際「因幡うどん」の今後についても、事業方針と雇用などは今後も継続されることになったという。
特定の店だけではない。中央の大手チェーンが地方のうどん継承プロジェクトに参画する取り組みも見られる。さぬきうどんチェーン「はなまるうどん」を展開する株式会社はなまる(本社:東京都中央区)は、後継者不在により閉店が相次ぐ香川県のさぬきうどん店を守り、戦前から現在までさぬきうどんに携わってきた人々の証言を残すことで次世代に継承するプロジェクト「さぬきうどん未来遺産プロジェクト」に後援企業として参画することを発表している。
個人店につきまとう、「店主の高齢化」と「後継者不足」という二つの課題。長年培ってきたノウハウを捨て、地域の胃袋を支えてきた歴史に幕を下ろさざるを得ない事態は、人気店であっても他人事ではないはずだ。そうしたなか、技術活用としての「買収」ではなく、過去と未来を繋ぐ「事業継承」という道を選んだ力の源ホールディングスと因幡うどんのように、土地の文化ごと存続し、伝播しようとする地元企業の取り組みが今後注目される。
<取材・文/井上こん>
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