部下の気持ちを引き付ける上司が持っているスキルとは、
相手のモチベーションエリアを見極めるスキルであり、モチベーションエリアに応じた表現スキルである。
人にはそれぞれ、その人自身のモチベーションが上がりやすい領域や、上りにくい領域がある。それを、私は、
モチベーションエリアと名付けている。
例えば、前出の上司は、徹夜三連荘だろうがなんだろうが、なにがなんでもやり遂げたいと思い、「目標達成」することにモチベーションエリアがある。一方、外せないプライベートの予定が気になってしまう部下は、公私のバランスをキープすることが意欲の源泉であり、「公私調和」にモチベーションエリアがあると言える。
その他、任されると俄然やる気が出る「自律裁量」、責任ある仕事を担えば担うほど気持ちが高まる「地位権限」、周囲と協調することが大事な「他者協力」、安定していることがパフォーマンスを生む「安定保障」の6つに、私はモチベーションエリアを区分している。「目標達成」、「自律裁量」、「地位権限」の3つを牽引志向と名付け、「他者協力」、「安定保障」、「公私調和」を調和志向と名付けている。「牽引志向」は狩猟型、「調和志向」は農耕型とも言えるだろう。
どのモチベーションエリアを持っているか、どのモチベーションエリアに左右されやすいかということは、良い悪いという問題ではない。人それぞれの性格や経験により作り上げられたもので、一朝一夕に変わるものではない。上司に言われて、変わるようなものではないのだ。だとすれば、顧客だろうが、彼/彼女だろうが、そして部下だろうが、モチベーションエリアを見極めて、それに応じた表現をしていければ良いことになる。