シーア派の聖地巡礼を経て、イスラムの教義に触れてみた

第8代目イマーム、レザ(Alī ibn Mūsā al-Rezā)とその家族の墓を訪ねた

 イスラム教関連でよく耳にする、「シーア派」と「スンニ派」の違いについて知る人は少ないのではないだろうか?  イスラムの二大派閥と言われるスンニ派とシーア派の違いは一般的に、預言者ムハンマド亡き後、ムハンマドの(義理の)息子アリーを後継者として認めず、その代理人をイスラム共同体の中で選出したのがスンニ派、アリーを次期指導者とし、その子孫達の継承権を主張したのがシーア派であると区別されている。  シーア派はではアリーとその子孫たちを預言者ムハンマドの代理指導者として「イマーム」と呼ぶ。二大派閥と言ってもその割合は8:1程度、シーア派は数的にはかなり少数派なのである。  筆者はそうした少数派の人間、しかも出自も非常に特殊なイスラムの友人二人とともに、シーア派の聖地を巡礼した。この記事ではシーア(特に12イマーム派)が正統性を主張する論拠や特有の思想を挙げていく。  スンニ派とシーア派の考える”聖地”には違いがある。イスラム教徒の聖地というとメッカ、預言者ムハンマドの墓があるマディーナ、そしてエルサレムである。シーア派ではそれに加え「イマーム」たちの墓を聖地としている。シーア派信者達はメッカ巡礼に加え、このイマーム達の墓所も巡ることを推奨している。私が今回、訪れたのは主に第8代目イマーム、レザ(Alī ibn Mūsā al-Rezā)とその家族の墓である。
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