宇宙へ羽ばたく「こうのとり」 ――宇宙ステーションへ物資を運ぶ日本の無人補給機

1号機から5号機まで連続成功

「こうのとり」3号機を載せたH-IIBロケット3号機の打ち上げの様子 Photo by NASA

「こうのとり」は2009年9月11日に1号機が打ち上げられた。正確には技術実証機という位置付けで、とくに日本がこれほどの大型の宇宙機を、それも人が住んでいる施設へ向けて飛ばすのは初めてのことだったため、慎重な運用が行われた。結果的には、細かなトラブルを除けばおおむね順調に進み、無事にISSとの結合に成功。補給を終えた後、同年11月2日に地球の大気圏に再突入して処分され、運用を終えた。  なお、このときはまだ「こうのとり」という愛称はなく、計画・開発時からの名称である「HTV」とのみ呼ばれていた。HTVとはH-II Transfer Vehicle(H-IIロケットで打ち上げる輸送機)の頭文字から取られている(その後、実際に打ち上げるロケットはH-IIBになったが)。  その後、2011年に2号機が打ち上げられ、このとき一般公募によって「こうのとり」という愛称が付けられた。そして2012年に3号機、2013年に4号機、2015年に5号機が打ち上げられ、細かなトラブルはいくつかあったもののおおむね順調に運用され、ミッション自体はすべて成功を収めている。  こうして運用が続く中で、それまで輸入品を使っていた部分を国産部品に変えたり、運用をより効率良くできるように手順を見直したりといった改良が徐々に行われており、また、NASAから緊急で送り届けなければならない物資の輸送を任されるなど、他国からの信頼と実績も重ねてきている。  そして現在、6号機の打ち上げ準備が進んでいる。機体はすでに打ち上げが行われる種子島宇宙センターにあり、また先日公開されたH-IIBロケット6号機も同センターに到着。それぞれ試験などを経て、最終的にロケットの上に「こうのとり」が載せられ、最後の試験などを行った後に打ち上げられる。  なお、当初打ち上げは2016年10月1日に予定されていたが、「こうのとり」6号機を種子島宇宙センターで試験中に、小型エンジンの燃料配管に漏れが見つかったため延期が決定された。新しい打ち上げ日の目処は立っておらず、未定となっている。修理のためには一度機体を分解する必要があり、最低でも1か月は必要になるという。

「こうのとり」6号機を打ち上げるためのH-IIBロケット6号機

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「こうのとり」の未来
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