取材時はまだ未完成の状態で、どうにかオープンをしたという雰囲気だった
タトゥー好きで一見イケイケな雰囲気もあるちひろさんだが、日本で店を開いたころは店の経営や接客の仕方に悩む日々だったという。しかし、それを解決してくれたのがタイだった。
「元々はネパールが好きでタイに初めて来たのが2013年3月でした。初日は言葉もわからない、街は汚い、ご飯は辛いしでもう来ないだろうなと思ってましたけど、カオサン通りに行ったり寺を見たり象に乗ったりしてなんとなくタイの空気に慣れてきた3日目くらいにある出来事が起こりました。チャオプラヤ河沿いの飲食店で店員が赤ちゃんを抱えていて、それを見せてチップを寄こせと言ってきたんです。断ったら、ものすごく怒られて、食べかけの料理も全部取り上げられ、会計させられました」
普通なら「最悪だ!」と思うところ、そんな接客でいいのか!とちひろさんは蒙が啓かれた思いになった。そのときからバーの経営が楽しくなり、タイも好きになった。
タイはナイトエンタテインメントを取り巻く環境が変化しやすい。国のトップ、あるいは管轄の警察署長が交代になるだけでそれまで問題なかったルールが反故にされる。そんな苦労がこの先確実にあり、ちひろさんもこれからが勝負になるだろう。しかし、持ち前の人懐っこい笑顔で人脈も広げており、バンコクでは珍しい日本人女性経営のバーはおもしろくなっていきそうである。
カウンターのうしろには一応小さな席も作ってある。ここはタイっぽい雰囲気がある
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:
@NaturalNENEAM)>
取材協力:
Snack&Barちひろ バンコク店