居酒屋「トンロー横丁」にいったん入店してから階段を上がるとちひろさんに会えるという、ちょっと変わったシステムになっている
バンコク店は日本人在住者が多いトンロー地区にある。独立した店舗ではなく、人気の居酒屋「トンロー横丁」の2階に間借りする形で営業を始めた。店内面積は小さく、数名が座ればカウンターはいっぱいだ。なぜ彼女はここで開業するに至ったのか。
「2015年9月に日本の店は人に任せて、タイ語を勉強するために移住しました。本当はタイ語をまずはしっかり学びたかったのですが、飽きてしまって……」
アグレッシブな性格のちひろさんはタイ語学習だけでは日々が単調になってしまい、タイで知り合った飲食店経営者たちのアドバイスや誘いに乗って、まずは店を始めてしまおうと考えた。そのときに一番に声をかけてくれたのが「トンロー横丁」の経営者だった。内装から仕入れ先まで具体的にアドバイスを受ける。タイで働くに必要な労働許可証などもその経営者が対応してくれた。
「ただ、やっぱりタイなんですよね。内装も約束の日程を大幅にズレ込むんです。無理矢理7月1日にオープンさせましたが、実は未完成の状態だったんです」
タイでは内装業者の仕事が遅いことは最早常識だ。そのため、期限が過ぎると1日ごとにペナルティーを発生させたりするなどの防衛策が必要になる。ちひろさんの店では日本人の内装業者に頼んだが、結局職人はタイ人なので遅れてしまった。タイでビジネスをするにはこのように日本では考えられないストレスを感じることもある。
しかし、そんなタイだが、日本で店を開いていたころの「悩み」を解決してくれた場所でもあるという。