人間vs最先端AI――投資をさせたらどっちが勝つ?

 ただし、将来的にAI技術が洗練されれば、「保有期間がごく短く手数で勝負する手法を執る生身の投資家ほどAIとの戦いで苦労するかも?」とも、シスヤ氏は指摘する。  一方、ほぼ同じ頃に株を始めて期待通りの成果が出なかった大内崇氏は、転職がシストレを始める契機となった。
TOの株システムトレード情報局

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「転職先を探していたら、友人がシストレソフトを開発していたのを知り、合流。入社して業務の傍らで自分でも実践したら、目に見えて成績が安定してきました」(大内氏)  こうして’09年にシストレに開眼し、’13年以降はアベノミクス相場で躍進。宮城県に一軒家の別荘を購入して半隠居生活ができるレベルまで利益を積み上げ、「もはや自分の裁量でトレードできない体になった(笑)」(大内氏)とか。AIについてはトレードに必要な情報をベストなタイミングで提供するアシスタント的役割なら期待できるとか。 「AIが運用を代行する場合、なかなか人間には使いこなせない気がします。一時的にせよAIが判断したトレードで損失を被り、その次に悪手としか思えない指示が出ると、怖くてとても言われた通りに対処できません。不具合が生じる可能性も踏まえれば、理解できない物にお金を預けるには想像以上に心理的壁が厚い」(大内氏)  市販のシステムをベースとしている前述の2人に対し、完全に自前のプログラムを組んでいるのがゆうたろう氏だ。ロバート キヨサキの『金持ち父さん、貧乏父さん』を読み、学生時代からFXにチャレンジ。就職活動などで中断したが、社会人になって3年目から株式市場に矛先を変えて投資を再開した。為替市場は夜間も値動きがあり、本業にさしつかえるからだ。
システムトレーダーの冒険の書

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「当初は、より多くの情報を集めないと勝てないと考えていました。しかし、なかなか利益を上げられず、不要と判断した情報を排除していきました。そして、約1年後には1つのパターンに絞ってトレードするようになり、それが最初のシステムとなった。気づいたら、自然とシストレをやっていたわけです」(ゆうたろう氏)  上昇トレンドに入っている銘柄を抽出し、マル秘のルールによって優先順位付けして買っていくのがゆうたろう氏の手法。つねにそのルールが通用しなくなるリスクを抱えているものの、自分の手法に優位性があるのかどうかを統計的に検証できるのがシストレの利点」(ゆうたろう氏)という。  システムの開発者かつ投資家としてAIには興味があり、情報収集も続けているそうだが、自分のトレードへの利用については懐疑的とのことだ。 「AIが技術的に発達して利益を上げる機関投資家が現れたとしても、個人のシストレで同等水準のものを利用できる環境が整うのはまだかなり先でしょう。仮にその基盤が整ってきたとしても、同じテクニカル指標を使っても勝てる人と負ける人が出るように、AIでも明暗が分かれるはずです。高水準のAIが普及し始めてもすぐ飛びつくようなことはせず、利用するのはしっかりと検証したうえでのことになると思います」(ゆうたろう氏) 【シスヤのシステムトレードとか】 高校中退後に大検を受けて京大に入った異色の経歴のシスヤ氏が綴るブログ(http://daytradenet.blog29.fc2.com/)。個別株と先物をターゲットにシステム運用で資産を増やして経済的自由を獲得し、わが子の教育に理想的な環境を求めてオーストラリアに“お試し移住”中 【TOの株システムトレード情報局】 転職をきっかけにシストレを本格的に実践。シストレソフトの開発を手掛ける東京都内のソフト開発会社・ツクヨミの大内氏が主催するブログ(http://izato.livedoor.biz/)。同社製シストレソフト「イザナミ」の利用料は月額7700円で、無期限ライセンスだと16万2000円 【「システムトレーダーの冒険の書】 すべて自作のプログラムでシストレに励んでいるゆうたろう氏のブログ(http://yutarosnotebook.blog.fc2.com/)で、ポジションは完全に公開。「シストレをラクできる手段として考えるのは禁物で、安易に自動化を目的にすると自動的に損するシステムになる」と忠告する ― [人工知能まかせ投資]でこれだけ勝てる! ―
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