人間vs最先端AI――投資をさせたらどっちが勝つ?

近頃、AIという言葉をやたらと目にするようになった。「人工知能」を意味する英語の略称だが、企業経営の判断にも活用される日が近く、資産運用の世界でも人智をはるかに超えた手腕を発揮することが期待されているという。果たして、本当にAIによる運用は万能なのか? 徹底検証してみたい

個人システムトレーダーはAI運用をどう捉える?

 個人投資家に焦点を絞り、彼らがAI運用をどう捉えているのか探ってみたい。まずは、昨年は約2750万円、一昨年は約4000万円の利益をシステムトレードで稼いだシスヤ氏。ITバブル直前の’98年から株式投資を始めたものの、当初は増えたり減ったりで、すっかり遠ざかっていた時期もあった。シストレに注目し始めたのは’06年頃だという。
シスヤのシステムトレードとか

シスヤのシステムトレードとか

「過去の結果から損益率を算出し、今後も相場が同じ動きとなることを期待して売買する手法の存在を知りました。気になってあれこれ調べたら無料の検証ソフトを見つけ、BNFさんの逆張りの売買行動を入力してバックテストを行ったら、ピタリと期待値通りのトレードになっていて衝撃を受けました」  BNFとは、100億円以上の資産を稼ぎ出した伝説のスゴ腕個人トレーダーだ。以来、シスヤ氏はシストレにハマり、コンスタントに利益を稼げるようになっていった。相場と向き合う時間も、極端に短くなったとか。 「ザラ場の動きや経済ニュースなどを見るのは、ルールを破りたい自分の深層心理を正当化する材料探し。見ないように努めています」(シスヤ氏)  そんなシスヤ氏は、AI運用については、特に関心がないという。 「自分が考えたルールに沿ってバックテストを行い、現状で最適解と思われる経験則を見出す点は、シストレもAI運用と同じ。経験(主に大きな損失)から自己学習を行い、改善を施す点も然りです。囲碁や将棋と違って盤面以外からの情報量も多く、簡単に人間が勝てなくなるとも思えません」(シスヤ氏)
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「手数で勝負する投資家ほどAIとの戦いで苦労するかも?」
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