マンガの主戦場は紙からアプリへ。作品性だけが求められる時代は終わった?

子供の学習に活用できる漫画をジャンル別に選出、紹介するプロジェクト「これも学習マンガだ!」

ただ読むだけじゃない、多様化するマンガの機能

「成熟期を迎えたマンガ産業には、『ワンピース』や『ドラゴンボール』のような作品性の高い国民的大ヒット作を生み出すこと以外にも成功できるポテンシャルがある。私は小学6年生から中学2年生までの課外授業を受け持ったのですが、話を聞くと『週刊少年ジャンプ』より『comico』を読む子供の方が多いのです。作品のクオリティを考えれば、『comico』よりも『週刊少年ジャンプ』の方が格段に優れている。しかし子供たちはよく作品を読むことよりも、『comico』がもつコミュニケーションのハブとしての機能を重視している」  例えば「comico」ではFacebookの「いいね」のようにマンガを「応援」する機能があり、応援が多い作品ほどランキングで上位につける。これによって自分が作品を育てている感覚が味わえるだけでなく、そうした体験を知人と共有することが、現在のマンガの楽しみ方のひとつなのだという。 「先述の以外にも、エリアマネジメントと組み合わせたり、教育と組み合わせたりすることも考えられる。例えば私が現在手がけているビジネスに、一般のマンガを学びという視点からキュレーションするというものがあります。『宇宙兄弟』から宇宙開発や人生における『夢の実現』を学べるように、現代のマンガは教材として多彩な可能性をもっている。マンガが共通言語となった今だからこそ、作品性だけでなくその機能面にも着目すべきタイミングだと思います」  紙からアプリへの転向は序章に過ぎず、マンガ産業の一大変革期は今これから始まろうとしている。 【山内康裕】 マンガナイト/レインボーバード合同会社代表。法政大学イノベーションマネジメント研究科修了(MBA)。マンガ関連の施設・展示・販促・商品等のプロデュース・キュレーション・企画業務等を提供する。 <取材・文/HBO編集部>
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