それを象徴する事件が6月に起きた。駒込などで5店舗を展開するインドカレー店「シャンティ」(現在は閉店)の運営会社が一方的に外国人従業員へ解雇を宣告。従業員への給料は’15年から滞り始め、’16年からは一切支払われていなかった。インド人、バングラデシュ人の従業員らは「未払い賃金・残業代」総額6296万円(1人平均420万円)を要求しており、行くあてもなく困窮している状態だ。
なぜ、このようなことが起きるのか。
「訪日インド人や在日インド人が自ら出資して開店することもないわけではありませんが、現状の多くは出稼ぎ外国人を経営者として独立支援する形で営業させている。そうした外国人は多額の高金利の借金をして取得などでは現地のブローカーに手数料を支払っているケースもあるようで、悪質な場合はブローカーが日本の反社会勢力と結託し、タダ同然で働かされることも。これは、インド人に限ったことではないようです。法律も、言語も知らないのでは行政窓口に相談をすることも難しいので問題把握もされておらず、実質放置されている。日本に移り住む外国人が増加傾向にある昨今、あらゆる業態のビジネスでこうした問題が発生する恐れがあります。英国のEU離脱で移民問題が議論されていますが、日本も注意が必要です」
外国人労働者の増加が顕著である昨今、彼らの権利を守るための体制づくりが急がれる。
【平野和之】
経済評論家。法政大学卒業後、上場企業勤務等を経て独立。テレビ出演、各種講演や執筆活動を行う。近著『
図解 経済入門 基本と常識』(西東社)。
<取材・文/HBO編集部>