杜の都の中心でも大きな存在感を示す「AEON」(イオン仙台店、旧ダイエー仙台店)
ここまで3回に亘ってまとめたように、杜の都・仙台では、郊外地域から中心市街地まで、あらゆる店舗形態による「商業のイオン化」が急速に進んでいる。
こうした「商業のイオン化」は仙台のみに限らず全国的に起きていることであり、かつての小売業の雄であったダイエーがイオンへ変わりつつあることを見てもそれは明らかである。
しかし、そこは21世紀の小売業の雄であるイオングループ。仙台での事例を以て示したように、当然ながらその出店は決してやみくもなものではなく、店舗ごとに地域の実情にあった開発手法や業態を熟考したうえでの出店であるということがよく分かる。
仙台市では、再開発事業や震災復興需要を見越したうえでの「復興・防災型イオン」の出店・開発戦略と、他地域では展開することのなかった、いわば実験的店舗とも言える新業態の「小型化イオン」により、新たな形での「イオン包囲網」が敷かれようとしており、既存のイオンモールや、イオン流に改装された旧ダイエー店舗などの「旧型イオン大型店」も含めるかたちで、仙台のまちはイオンの小売事業における、いわば「ショールーム」とも言える状態になりつつある。
杜の都に吹き荒れる「イオン旋風」は、仙台のまちの姿をどこまで変えてしまうのか。
100万仙台市民は、新たな店舗に対する期待と、将来の「まち」の変貌に対する不安を胸に、これからのイオングループの動向を見守っていくしかない。
中心市街地でも郊外でも「イオン化」は進む(仙台市・クリスロード商店街)
<取材・文・撮影/都市商業研究所>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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