北米、中国でもトップシェア! 使い捨てカイロで世界に挑む桐灰化学

北米で10年、そして中国へ

 こうした品質を武器に、海外市場へと進出。海外展開については小林製薬が担当している(以下、小林製薬広報担当者によるコメント)。 「海外では寒い時にカイロを持ち歩く習慣が一般的な光景ではないんですね。そこで、日本発の商品として、認知度を高めていっている状態です」  ここでも地域差、特に海外では習慣の違いが障壁となっている。とはいえ、北米と中国では、すでにトップシェアを獲得(小林製薬推計)。特に売上が大きいのは北米だ。 「弊社がカイロ『Cura-Heat』を販売開始したのが2002年ですが、このカイロは身体の痛い場所を温めるためのヘルスケア用途でした。海外ではこうしたヘルスケア用途もそれなりのマーケットがあるためです。2006年に防寒用カイロのトップメーカーであったヒートマックス社をM&Aし、防寒用カイロ『HOT HANDS』の販売を始めました。ここから一気にシェアが拡大し、それから約10年かけて浸透させていきましたね。現在はウォルマートやウォルグリーンといった大手量販の多くで取り扱いがあり。北米でのシェアは70%程度と見ています(小林製薬推計)」  ただし、北米は、カイロ市場が形成されているものの、使用シーンはスポーツ観戦やハンティングなどのレジャーシーンが主流。防寒用とは一般的ではないという。 「米国はクルマ社会でドアtoドアでの移動が日常化していますから、生活の中で防寒用カイロを使う必然性が薄いんですね。ただ生活様式も多様なので、まだまだマーケットは眠っているはず。より日常的に使用してもらえるように、スーパーのレジ前やエンド展開などをして、お客様とのタッチポイントを増やしている状況です」

ゼロから始めてシェア3割となった中国

 まずは認知度の獲得。これは基本ではあるが、中国展開では大きな効果を上げている。 「一部量販店のPOSデータからの推測ですが3割強、おそらくはトップシェアです。弊社が中国に進出した2000年ごろは、使い捨てカイロはほとんど普及しておらず、高級な輸入品としてごくわずか取り扱われている状況でした。そこで、2003年に使い捨てカイロ『暖宝宝』を発売すると共に、店頭でのデモンストレーションやTVCMを流すことで知名度獲得に務めました。おかげで沿岸部では認知度90%(小林製薬POS調べ)というデータもあります」  アウェーの地域でシェアを獲得するために、長期的な視点で普及活動にとりくめる。腰を据えた戦略の重要性が見て取れる。 <取材・文/江沢洋>
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