北米、中国でもトップシェア! 使い捨てカイロで世界に挑む桐灰化学

価格競争より品質で勝負したい

 トップシェア企業であっても地域差は大きな障壁。ホームグラウンドで確立したブランドイメージが、アウェーでなかなか浸透しないというのは、他業界にも通じる悩みだろう。 「まずは販路を充実させたいところですが、販売店さんによっては他メーカーを扱った方が売上が見込めると考えているようですね。これは単価が若干ながら高いことも関係していると思います。あくまでたとえですが、価格が100円高くなる分のメリットを認識してもらっていない状態と言えるのではないでしょうか。ただ、弊社としては、品質には絶対の自信がありますので、価格競争は得策ではなく、重要なのは品質の良さを浸透させることだと考えています。それをどうやって達成するのかが課題ですね。現状、流通の皆さんをお招きした展示会などでは、マイナス気温下においたカイロのあたたかさを比較してもらい、弊社カイロの品質の良さを実感してもらうことを地道にやっています  それにしても、使い捨てカイロのシェアの違いはどこからくるのか。桐灰化学の『はる』は競合製品より若干高値。使い捨てカイロの形状はシンプルなこともあり、メーカーごとの差を感じにくいのではないだろうか? 「いえいえ、カイロの根本的な機能性にお客様は敏感だと思いますよ。弊社の製品は『表示している時間の最後までしっかり温度が保たれる』というのをウリにしており、一般的な品質基準以上の高い基準を設けています。弊社の『はる』であれば14時間、『ニューハンドウォーマー』であれば24時間、さまざまな状況下においても持続することをお約束していますので、極めて厳しい基準だと思いますね。これは桐灰化学の最も強いこだわりどころかもしれません。その成果は、お客様から『朝使い始めたのに、夜に寝て起きたときにもまだ温かい』 という評価にあらわれていると思います」  では、その持続時間はどこからくるものなのか? 「これは開発のキモなので詳しくは言えないのですけれども、鉄粉の品質からして、相当に選び抜いています。また、水分保持、空気の取り込み量などの加減に、カイロ独特の処方みたいなものがあるんです。そのあたりの調整に、開発陣は命をかけている部分がありますね」
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北米で10年、そして中国へ
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