未遂に終わったトルコのクーデター。「ヤラセ」疑惑も飛び出す

テロの影響で冷え込む観光業

 このテロ活動の激化でトルコのGDPの12%を担う観光業が厳しい状況にある。外国からの訪問者が激減しているのだ。公には昨年比で現在まで20%の減少と言われているが、『El Pais』紙によれば、実際の現状をイスタンブールのホスタル(安価な宿)経営者が次のように語ったとしている。〈「昨年の4月と5月客室は80%埋まっていた。今年は20%以下だ。今夏に向けては予約はほぼゼロに近い」〉。  クルド紛争もシリア紛争も解決にはまだほど遠い状態だ。そしてエルドアン大統領のクルドとイスラム国への攻撃を緩める姿勢はない。しかも、エルドアンはトルコ国内のクルド人の国外への追放を目論んでいるという。そして、クルド労働者党との和平交渉の再開はまったく期待出来ないことから、テロ活動がトルコ国内で鎮まる可能性はない。よって、トルコの観光業も今後も回復の見込みはない。  また昨年11月にトルコ空軍がロシアの戦闘機を撃墜させた事件から、プーチン大統領はトルコに制裁を課した。そのひとつにロシア人のトルコへの観光の中止である。  この影響で、ロシアの観光客がトルコの観光地から完全に姿を消した。つい最近、両国は関係修復に合意した。ロシア人もトルコを訪問出来るようになった。しかし、テロ活動の激しいトルコを訪問しようとするロシア人は非常に僅かであろう。
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エルドアンの失政
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