「世界一幸せな国」でも特に「幸福」が強調される国政選挙運動は、こんな感じでみんな大フィーバー
コスタリカが隣国から攻めてこられたことは、軍隊廃止後何度もあった。そのプロセスは拙著
『丸腰国家』やこれまでの記事で詳述しているのでここでは省くが、再軍備せずにそれらの軍事的危機を乗り越えたからこそ、彼らは多くの日本人とは違う結論を持っている。
すなわち、「非武装こそ最大の防衛力だ」という確信だ。日本でそう考えている人がいないわけではないが、非常に少数派だろうし、多くのコスタリカ人ほど確信的でもないだろう。
違う国には違う“常識”があるのは当たり前だ。それは世界中をロケで旅して回っているイモトさんにはよく分かることだろう。たまたま、ほとんどのコスタリカ人の軍隊に関する常識が、私たちの多くが持っているものとは違う、たったそれだけのことなのだ。だから、イモトさんの疑問も自然だし、それと違う常識がコスタリカにあることもまた自然だといえる。イモトさんは、その「常識の差異」に遭遇したにすぎない。
『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)より
はるばるコスタリカまで行った先で浮かんだ疑問なのだから、その場にいた普通のコスタリカ人たちに聞いてみれば面白い結果になっただろう。「軍隊がないことと幸せはどう関係するのか?」と彼らに尋ねてみると、多くの肯定的な答えが返ってくるのに驚いたかもしれない。
幸せではないと感じるコスタリカ人は少なくない。だからといって、軍隊を持った方がいい思う人はまずいない。軍隊さえなければ幸せだとは考えないが、軍隊がないことが幸せの最低条件だとも考えている。平均的日本人からすると、コスタリカ人こそ“珍獣”かもしれない。
この件に関するネットメディアの“記事”を見ると不正確なものが多く、「ウヨVSサヨ」といったいつもの構図に落とし込められたものも散見される。中にはコスタリカを「南米」と書いているものすらある。その程度の認識では、この“珍獣”たちの頭の中はとうてい理解できないだろう。
イモトアヤコさん、これで少しはスッキリしたでしょうか? 次回はぜひ直接コスタリカ人に聞いてみてください。きっとたくさんの面白い、私たちの常識ともネット情報とも違う答えを聞くことができますよ。
取材・文/足立力也(コスタリカ研究者。著書に
『丸腰国家~軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略~』など。
コスタリカツアー(年1~2回、次回は8月23日出発)では企画から通訳、ガイドも務める。
「伊勢谷友介 KAI presents EARTH RADIO」にゲスト出演時のコスタリカ解説がPodcastで配信中)