「軍隊がないとなんで幸せ?」『イッテQ!』イモトアヤコの疑問に答える

「世界で最も幸せに暮らせる国」の判断基準とは

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)より

 まず、最初に紹介される「世界で最も幸せに暮らせる国」について。これは正確には、イギリスのニューエコノミクス基金(NEF)という研究所が毎年発表している“Happy Planet Index(HPI)”、日本語訳では「地球幸福度指数」という。  コスタリカが1位である理由について、番組では「常備軍がないこと」に加え、「自然エネルギー先進国」であることの2つだと説明された。ここにひとつの誤解がある。  HPIのウェブサイトには、ランキングを算出するための計算式と変数が書いてある。基本数式はいたって単純で、(経験的幸福度)×(平均余命)÷(エコロジカル・フットプリント)だ。「経験的幸福度」は世界的世論調査会社であるギャラップ社の調査を利用し、幸福度を0~10の間で評価してもらう。  平均余命は国連開発計画(UNDP)の調査を、エコロジカル・フットプリントは世界自然保護基金(WWF)の調査をもとにする。あとは各国ごとに数字を代入すればランキングが出るというわけだ。  つまり、常備軍がないことと、自然エネルギー先進国であることは、間接的には影響しているものの、同指数1位となった直接的な理由ではない。

「幸せ」は主観的なもの

 自然エネルギーの話の後、「エコがなぜ幸せに結びつくのか」とさらなる疑問を重ねるイモトさん。それは、HPIを算出する数式に使われる変数によって説明できる。  経験的幸福度は「いい人生を送っていると自分で思えるか」。平均余命は「何年生きられるか」。エコロジカル・フットプリントは「それが次世代まで持続可能なものか」だ。「地球に優しい」の部分は、幸せだと思う人生が長く続くことが前提で、それがどれくらい先の世代まで享受可能かという部分なのだ(厳密には「主観的な幸せ」にも関係するのだが、ここではあえて極論にしておく)。  イモトさんは番組中、「人それぞれの幸せがある」と力説する。その通りで、だからこそ主観的な幸せを調査した「経験的幸福度」が変数の1つになっている。これらの変数の説明が不足していれば、このような疑問を持つのも不思議ではない。
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コスタリカの常識は日本の非常識!?
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丸腰国家―軍隊を放棄したコスタリカの平和戦略―

「理想」ではなく「現実」のもとに軍隊をなくした人々。