吉野家があの有名ラーメン店を買収。「新たな価値の創造」を目指す

2回目のラーメン店取得は成功するか?

 吉野家HDは吉野家の他に子会社として、讃岐うどんチェーンの「はなまるうどん」や和食店の「京樽」などを展開している。牛丼の「吉野家」、セルフ式うどんチェーンの創始である「はなまるうどん」、日本最大のステーキレストランチェーンの「アークミール」、老舗上方寿司の「京樽」など多くのトップブランドを有している。各ブランドが顧客から高い信頼を獲得することで、安定した収益を確保していくとしている。  実は、先述したように吉野家HDがラーメン店を買収するのは、今回が初めてではない。2007年8月に吉野家HDは、「びっくりラーメン一番」を買収し、完全子会社の株式会社アール・ワンとしたが、同社を2009年8月に清算した。1杯189円(税抜180円)のびっくりラーメンであったが、390円ラーメンを主力とする「麺家 五条弁慶」への転換が行われた。しかし、屋号の変更や値上げによる客離れに加えて、小麦粉価格の高騰に伴うコスト増もあり、不採算事業から撤退することになったという苦い過去がある。  吉野家HDは、「今後の業容拡大などに向け、店作りなどでせたが屋の前島司社長の知見を活用する」としており、同じ轍を踏むつもりはなさそうだ。  吉野家HDによれば、今回の提携も4月に制定した10年先を見据えた長期ビジョン「NEW BEGINNINGS 2025」の実現を目指し、現在のビジネスモデルに加えて、長期的に運用できる「新しいビジネスモデル」を模索しているとしている。中でも「競争から共創へ」を掲げて、グループ内での人事交流などを活発化させ、新しい価値創造に挑戦しているという。  今回の提携も、その一環のようだ。果たして、2回目のラーメン店取得は成功し、新しい価値を想像することになるか。今後の行方が気になるところだ。 <文/丹羽 唯一朗>
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