幻の明星のカップ麺――「カップヌードル」より10年早く試験販売された商品が世に出なかった理由とは?

平野健児

幻のカップ麺「明星チャーシューメン」はなぜ実現しなかった?

 その一方で当時、明星食品は『スープ別添』から更に進んだ画期的な商品も生み出そうとしていました。それが1961年に鎌倉由比ヶ浜の海の家で試験販売された「明星チャーシューメン」というカップ麺です。1971年に「カップヌードル」が発売される10年も前に開発されていたこの幻のカップ麺は、容量470cc程の紙製カップに麺と粉末スープと乾燥具が入っていて、袋麺が30~40円の時代に50円で販売されました。

 にもかかわらず、「明星チャーシューメン」が市販化されなかった理由は、この試験販売で容器の耐油性に問題があることが発覚したためです。カップ麺の容器に関する技術は、当時としてはそう簡単な技術ではなかったのでしょうね。麺を容器に入れるというアイデアだけでは、特許も実用新案権も取れませんでした。ここでもし、明星食品が市販化まで漕ぎ着けていれば、日清の「カップヌードル」がカップ麺でも一番乗りとなることはなく、次回で触れる、以後の時代の展開も別のものになっていたかもしれません。

決算数字の留意事項
基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。

【平野健児(ひらのけんじ)】
1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『SiteStock』や無料家計簿アプリ『ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。
<写真/Yoshinori Koseki

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