「買い物する店がない!」大型店舗を襲った大きな被害
全壊したマルショク・サンリブ健軍店(熊本市東区)。マルショクでは地震で大型店4店舗が全半壊するなど非常に甚大な被害を受け、4店舗ともに営業再開の目途は立っていない
このように、鶴屋やパルコ、そして商店街の復活が待ち望まれていたのは、単に「マチの象徴である」という理由だけではない。鶴屋とパルコが営業を再開した4月24日の時点で、熊本市で全館営業再開していた総合スーパーは「イズミ・ゆめタウン大江」(中央区)などごく僅か。実は震災以降、熊本市内では食料品以外の買い物ができる店があまりなかったのだ。
一例として、熊本都市圏に数多く出店するスーパーである「マルショク」(大分市、屋号「サンリブ」「マルショク」)、「イズミ」(広島市、屋号「ゆめタウン」「ゆめマート」)、の、4月30日時点での営業状況を示す。
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※4月30日現在、調査対象:熊本都市圏の全店舗、各子会社含む。 ※本調査における「多層大型店」は「売場面積3,000㎡以上かつ多層型店舗」と定義。 ※多層大型店の核として一部にテナント出店している場合は「多層大型店」に分類した。 ※熊本都市圏:熊本市、宇土市、宇城市、合志市、嘉島町、益城町、御船町、甲佐町、菊陽町、大津町、玉東町、西原村(10%通勤通学圏、2010年国勢調査より)
この図を見て分かるとおり、ショッピングセンターや総合スーパーなどといった多層型の大型店は、地震から半月が経過したにも関わらずそのほとんどが営業を行うことができなかったのだ。
こうした多層型の大型店で特に被害が大きかったのは、天井板、配管、ガラス、エスカレータやエレベータの損傷だ。
営業することができてもエスカレータが使えない商業施設も多かった
一般的に中心部にあるような高層の百貨店やファッションビルのほうが高層階の重量があるために地震の揺れには弱いと思われがちである。しかし、ワンフロアの面積が大きな鉄骨造の中層ショッピングセンターは地震の揺れによって建物にねじれやひずみが生じやすく、まだ比較的築年数の新しいショッピングセンターにおいても天井板やガラスの損傷が発生した事例が非常に多かった。それは、1988年築のトキハ別府店(8階建・一部12階建)、2002年築の鶴屋百貨店東館(11階建)など、比較的新しい鉄骨鉄筋コンクリート造の高層商業施設では地震の被害が最小限に抑えられたこととは対照的であった。
一方で、営業ができないほど大きく損壊した店舗でも、多くの店では被災直後から駐車場などにおいて商品の格安販売が行い、被災者の生活支援に努める店が多くあった。