インフレ率40%、平均月収9万円のアルゼンチンで600万円近いハイラックスがバカ売れする理由

マクリ政権の政策が販売増を後押し!?

「昨年12月に誕生したマウリシオ・マクリ新大統領がトヨタのハイラックスの販売に貢献している」などという見方も浮上している。  マクリ大統領は選挙で公約していた穀物の輸出税の撤廃を就任早々に実行した。キルチネールとフェルナンデスの夫婦による12年間の政権で小麦、トウモロコシ、牛肉に20%の輸出税が課せられていたのをマクリは全廃したのである。そして大豆は35%から30%に引き下げた。その影響で今年の第1四半期の穀物の輸出は70%の伸びを見せたという。ヒマワリ油に至っては、実に225%も輸出が伸びたほどだ。そして、これら穀物類の輸出の伸びは〈最低でも120億ドル(1兆3200億円)の歳入増加に繋がるとしている。牛肉も同様で、好調な伸びを見せている。 (参照:『El Pais』)  前政権が高い輸出税率を維持していたのは、インフレが上昇する中、国内で穀物と肉類を充分に供給して価格の低下を狙い消費を促進させようと動いたのであった。そして輸出税で歳入不足を補う目的もあった。しかし、逆の結果となり、景気は低迷し消費需要は伸びない状態が続くという結果になったのだ。しかも、この輸出課税の政策によって輸出力が衰え、牛肉などの輸出市場が隣国のウルグアイやパラグアイに奪われることになった。市場原理を無視した政策によって、国の経済を完全に後退させてしまったのだ。  もともと、アルゼンチンは歴史的に豊富で肥沃な穀倉地帯を利用した農作物と肉類の輸出で発展した国である。マクリ大統領はこのアルゼンチンの本来あるべき姿に戻す政策を就任早々に実行したわけだ。  共同組合連合のコニアグロ(Coniagro)のダニエル・アセフ会長は「100%満足しているわけではないが、改善が見られ、これまでとは違ったビジネスの雰囲気に包まれている。『この12年間の罰』に我慢して来たということもあって、全てが良くなることに誰もがやきもきしている」と語っている。 (参照『El Pais』)。
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