当初スペインコンソーシアムのCEOに就任したサンティアゴ・ルイス氏も、12社の調整に疲れてサジを投げてつい最近辞任した。そのあとをコンソーシアムのメンバーRenfe社長のパブロ・バスケス氏が暫定的にCEOとしてサウジ鉄道との交渉を担うことになっている。辞任したサンティアゴ・ルイス氏は〈12社には統合経理は存在せず、各社が自社の関心から利益を求める行動に走っている〉〈ひとつの共通した文化も規準もない〉と舌鋒鋭く批判をしている。
(参照:『
El Mundo』)
この建設プロジェクトには当初2つのコンソーシアムが存在していて、それをスペイン政府が音頭をとってひとつのコンソーシアムにまとめたという経緯がある。その分野も2つの企業が重複しているのである。その上にスペイン人気質の個人主義が輪をかけるように団結心をそぐ方向に動くのである。開通までまだまだ問題を抱えそうだ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。