スペイン受注のサウジ高速鉄道。砂漠の砂、コンソーシアムの内部分裂に加えて巨額の未払金発覚

スペイン側が強気で請求できない理由

 ただ、スペイン政府はこの差額の解決に法的に訴えることを拒否している。今回の受注にはスペイン王家がサウジ王家を説得する為に動いた手前、訴訟によってサウジ王家との関係が気まずくなることをスペイン暫定政府は避けたいとしているのがその理由だ。ただでさえ、今年2月に予定されていたスペイン新国王のフェリペ6世とレティシア王妃のサウジ訪問がスペインの内閣不在で延期となったこともサウジ王家では心良く思っていないのである。これ以上不穏な要素を増やしたくないというわけだ。ちなみに、「暫定政府」と記載した理由は、スペインでは昨年12月の総選挙からいまだに政府が誕生しておらず、また前倒し総選挙の実施となって、現在選挙戦中なのである。その間、前政権が暫定的に政権を担っているのだ。  更に、スペイン側が強気に出られないのには、もうひとつ理由がある。当初、2017年1月が完成予定とされていたが、完成まで更に14か月が必要ということがコンソーシアムの間で明確になったのだ。そして、その事実はまだをサウジ鉄道に伝えて了解を得ていない。工期の遅れにはペナルティを伴うのは当然だろう。  では、スペイン側のコンソーシアムはアラブ側と交渉するのにどのようなプランニングをしているのか?  それは、14か月の工期の遅れで発生するペナルティを4億2000万ユーロ(504億円)と見て、工事超過額との凡その差額〈5億ユーロを超過額としてサウジ側に支払い請求する構えでいるという。 (参照:『El Confidencial』)
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不協和音が止まらないコンソーシアム
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