熊本県・大分県を襲った大地震――そのとき商店街は【熊本地震現地リポート】

いち早く復興した「市民の台所」

 震災により営業を行うことができない大型店が多いなか、商店街の復興は意外にもかなり早かった。  熊本市中央区、熊本大学近くにある「子飼商店街」。水前寺清子さんの出身地としても知られるこの商店街は、多くの生鮮食料品店や惣菜店が並び「市民の台所」として親しまれる。この子飼商店街がある熊本市中央区でも、16日の本震では震度6強の揺れを記録。震災直後は断水が起きたものの、早くも17日には一部商店が営業を再開し、商店街内では水の無料配給も行った。そして、本震から僅か2日後の4月18日には半分ほどの店舗が、4月中に殆どの店舗が営業再開にこぎつけ、多くの市民が買い物に訪れたという。

子飼商店街。地震直後から商店街の復興は始まった(熊本市中央区)

 殆どの店舗がいち早く営業を再開した子飼商店街でも地震の影響は大きかった。一部の個人商店で店舗の損傷が大きく営業できないままとなっているだけではなく、1967年より49年間に亘って商店街の核となっている3階建ての総合スーパー「マルショク・サンリブ子飼」は5月現在も営業できない状態となっている。

サンリブ子飼は老朽化も激しく、解体する予定だという。

 ちょうどサンリブの前を通りかかった女性買い物客は「(スーパーは閉まっているけれど)向こうのほうの八百屋さんが開いてるから大丈夫」と、早期に営業再開した個人商店を頼りにして商店街に足を運んでいるという。  商店街の商店主もまた被災者であることには変わりない。商店街の早期復興には並々ならぬ努力があったであろう。しかし、市民に親しまれる商店街がいち早く営業を再開したことが、市民にも安心感を与え、多くの人への復興への力添えになったことは言うまでもない。
次のページ
熊本市中心部の商店街でも営業再開続く
1
2
3
4
5
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会