国連「表現の自由」特別報告者が語る「日本のメディアの独立性に暗雲」

外国特派員協会で会見を行うデビッド・ケイ教授

「『報道の自由』が安倍政権によって脅かされている」という懸念が広がっている。  それは、国内のメディア関係者はもちろん、海外のメディア関係者も危惧していることなのだという。  4月に来日したデビッド・ケイ教授(米国カリフォルニア大)は、「日本のメディアの独立性に急激に暗雲がたち込めている」と指摘する。ケイ教授は国連人権理事会に任命され、各国の「表現の自由」を調査している特別報告者。今回の来日では、メディア関係者と政府関係者の双方から状況を聞くなどの調査を行った。

政府がメディアをコントロールしてはならない

 ケイ教授は「放送法をめぐる高市総務大臣の発言や、特定秘密保護法は非常に大きな問題があります」と語る。  放送法をめぐる「高市早苗総務大臣の発言」とは、今年2月8日、衆院予算委員会で「テレビ局が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、電波停止を命じることができる」との趣旨の答弁を行い、翌9日も同様の見解を示すなどした一連の発言のこと。  高市総務大臣は発言の根拠を、放送局に「政治的公平性」を求める放送法4条だと説明しているが、この4条はむしろ「権力からの放送の独立を示すもの」だというのが、憲法学者らの通説だ。ケイ教授も「メディアの政治的公平性を判断するのは、例えば第三者機関などであるべきで、政府がメディアをコントロールすることは、あってはならない」と問題視。  ケイ教授は高市総務大臣に直接説明してもらうべく面会を求めたが、大臣は「国会会期中」を理由に会わなかったという。
次のページ
「特定秘密保護法」は見直すべき
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会